2021年6月4日、改正育児・介護休業法が3日に成立しました。
ニュースでは「(男性にも)育児休業の取得を企業が促す」ことや、「出生後8週間以内に2回にわけて取得できる」ことに注目が集まっています。が、私の喜びは、違う視点からです。15年近く、自分なりに頑張ってきたことが、この改正に組み込まれて感動しています。
改正法案には「休業中でも一定の就業が可能になる(要労使協定)」が含まれています。これについて、語らせてください。
実は、「男性の育児休業取得の義務化」という話を始めて聞いたとき、私は「ひとこと」申す行動をとっていました。その理由は2つあります。
ひとつめは、男性の育児休業取得は、出産という肉体的負担が発生する女性とは異なり、すべての男性が取得を希望するとは限らないから。これについては、義務化されるのは「企業が促すこと」で、希望する男性が取得しやすくなるという内容と知り、納得しました。
もうひとつは、中小企業にとっては、男性社員の育児休業取得が、経営上大きな負担になるのではという懸念です。中小企業では社員数が少ない分、ひとりひとりの社員が担う業務の重要性は高くなります。男女問わず、社員が長期に渡って育児休業休暇を取得することは、少なからず経営にも影響を及ぼす危険性があります。
これに対するひとつの「答え」として、私は15年近く「育児休業中におけるテレワークでの就労」を提言してきました。この方法は「育休を取得したいが、仕事を完全に止めたくない」という男性にとっても、また「完全に休まれると業務が止まる」という中小企業にとっても、「男性の育児休業取得」を後押しすることになります。
しかし「休業中に働く」ことへの法律的な壁が厚く、遅々たる歩みの中で「月80時間以内」というところまで、たどり着いていました(平成24年)。ただし「臨時的・一時的業務のみ」という条件のもと、大きな動きとはなっていませんでした。
それが今回の改正で「育児休業中でも一定の就業が可能」となります。労使協定は必要ですが、会社と社員がしっかり話あったうえで、育児休業中でも仕事をすることが可能になります。そしてその働き方に、テレワーク(在宅勤務)という柔軟な働き方が大きく貢献することになります。家族のそばにいつつ、合間時間を利用して、仕事をすることができます。
私自身、2名の男性社員が育児休業を取得しつつ、テレワークで仕事をしてもらった経験があります。彼らは、仕事への影響を最小限にしつつ、出産後の妻と赤ちゃんの世話をしつつ、育児休業給付金と会社からは労働した分の給与(80時間以内)を得ることができました。
また、複数の女性社員も同様の育児休業中の就労を実施しました。特に「待機児童」になりフルタイム復帰ができない中、このような働き方ができたことは有効だったと思います。
以下、「育児休業の就業」に関するこれまでの歩みを書いたブログです。日付をみていただくと、いかに長く思い続けていたか、わかっていただけると思います。涙
■【提言】「育児休業中のテレワーク」を実現してほしい!(2008年3月21日)
■【徒然】育児休業給付金の規制緩和。在宅勤務という新しい「選択肢」(前編) (2013年5月10日)