田澤由利の徒然テレワーク

台風・大雪など災害時におけるテレワークの効果的な運用事例|三井住友海上火災保険株式会社

今年の秋には大きな台風がいくつも日本を直撃し、各地に甚大な被害をもたらしました。被害にあわれた皆様には心からお見舞いを申し上げるとともに、一日も早く、安心・安全な生活が戻ってくるよう祈念いたします。

今回の台風の中でも、特に9月の台風15号の際には多くの交通機関で計画運休が実施され、運転再開後もかなりの混雑や混乱がありました。津田沼駅にできた長い行列はSNSなどでもずいぶん話題になりましたね。

こんな時に役立つのがテレワークです。会社に出社しなくても、社員の自宅や自宅最寄りのサテライトオフィス等で業務ができれば、通常通りに始業可能で、社員が混乱に巻き込まれることもありません。

今回の台風15号の時に、BCP施策として在宅勤務を行ったという企業はたくさんありました。

しかし、せっかくテレワーク制度があるにもかかわらず、災害時の運用ルールなどが定まっていないために、うまくそれが活用できなかった例もありました。弊社にも、災害時のテレワークの運用事例のお問い合わせをたくさんいただきます。
そこで台風15号の時にどのようにテレワークを運用されたのか、三井住友海上火災保険株式会社さんに伺った事例をご紹介したいと思います。

テレワーク制度がある三井住友海上火災保険さんでは、人事部と総務部のご担当者が検討にあたり、必要性を認められた場合には、被害が想定される地域に向けて、安全確保やテレワークの検討・実施等を通達で指示しています。検討の対象になる災害は事業所のある地域に関係のありそうな台風、豪雨時などで、ご担当者が情報を集めて都度検討しているそうです。ポイントは「社員の出退勤に影響があるかどうか」で、今年は7月の九州豪雨、台風8号、10号、15号にあわせ、合計4回の通達を発信されました。

台風15号の場合は、各交通機関の月曜日の計画運休が発表されたのを受けて検討を進め、進路にあたる東北、関東、信越、中部地域に向けて、金曜の午後に以下のような内容の通達を流したそうです。

1.社員の出退勤の安全確保の喚起
2.早退や遅刻等への対応など勤怠管理上の注意
3.交通機関の計画運休が予定されている翌週月曜日におけるテレワーク勤務や、それに備えた(金曜日の)シンクライアント端末の持ち帰りの検討の指示

この通達を受けた部署ではそれぞれで検討して対策を取り、結果として月曜にテレワーク勤務を実施した社員が多数いたそうです。実際に社外からのVDIの接続数は、通常200~300なのが、この日は最大1300ぐらいまで数値が上がったのだとか。

企業によっては、各部署で自由にテレワーク勤務実施を検討、実施してよいという運用例もありますが、部署ごとでは判断しづらい、ある程度統一した判断の基準を示したい、とお考えなら、今回ご紹介した三井住友海上火災保険さんの運用方法は大変参考になるのではないでしょうか。

これからは大雪などの影響で交通機関が乱れる季節です。各企業の風土や体制に合わせた方法で、適切にテレワークを運用、活用していただきたいと思います。