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三菱UFJ銀行が男性行員の1ヶ月育児休暇取得を「上司に強く促す制度」について|由利の徒然テレワーク

2019年4月17日付の三菱UFJ銀行が男性行員の1ヶ月育児休暇取得を「上司に強く促す制度」を導入という日経新聞記事。賞賛の声も多くある中、勇気を持ってひと言。

三菱UFJ、全男性行員に1カ月育休 3メガ銀で初、上司に管理義務化(2019年4月17日付 日本経済新聞)
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「制度」という強制力を持って、改革を進めることは賛成です。でないと、世の中はなかなか動きません。ただ、根本の課題を解決する方向でないと、同じことを繰り返して効果が出ない危険性があります。

男性の育児休暇取得推進の課題は、記事本文にも記載されています。『取得率は8割超となったが、平均取得日数は2日にとどまる。』たった2日の休みなら、育児休暇ではなく、有給休暇でもよかったかもしれません。実際、私は、育児休業をすすめた男性社員に「満額出る有給休暇の方がいい」と言われたことがあります。
もし「会社からのお願い」で、育児休暇として取得率に算入されていたとしたら、今回の施策は「1ヶ月」に伸びるだけで根本解決になりません。そればかりか、新しい課題が見えてきます。
1ヶ月の長期休みになると、業務への影響が発生します。そこで、記事によると『夫婦で作った育児計画を直属の上司に提出させ、仕事の配分などを管理する』そうです。「育児計画をどうして会社に出さなきゃいけないの?!」というママの声が聞こえそうです。

男性は女性と違って、産後も本人の肉体的な負担はありません。ママの体をいたわりつつ、赤ちゃんのお世話を一緒にしていても、完全に仕事を休まなくてはいけないほどではないかもしれません。「家族が増えて、もっと仕事を頑張らなくちゃ」と考えるパパもいるでしょう。そんな社員が、上司から『1ヶ月の育児休暇』を指導されたら、逆にもどかしい思いをするのではないでしょうか。
あくまでも私個人の意見ですが、本当に出産後の大変な時期をパパとママが一緒に乗り越えるには、100%でなくてもいいので「細切れ時間でも仕事ができる」選択肢が必要なのではないでしょうか。

国は企業に強く「男性の育児休業取得率」を求めています。でも、国の施策の本当の目的は「休ませる」ことではなく、「子育てと両立しやすくする」ことのはずです。
現状の法律や、給付金の財源の問題など、育児休業中に在宅で仕事をすることは、いろいろな問題があることは認識しています。しかし、この事例をよしとし「男性の育児休業取得を強制する」方向だけに進むことを、私は懸念しています。
「育児休業対象期間中でも、柔軟に働ける選択肢を用意する」方向に、国の施策が向いてくれることを、心から願っています。
休みは「期間」が終わると終わりです。でも、柔軟な働き方は「期間」が終わっても、続けることができます。
子育ては、2日でも、1ヶ月でも、1年でもなく、10年、20年続くのですから。

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